『How long』 楽曲分析・解説



Charlie Puthの『How long』の楽曲分析・解説ページです。

楽曲の構成や聴きどころ、歌のパフォーマンスを中心に解説していきます!


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楽曲概要



2017年リリース 5thシングル
作曲 : Charlie Puth,Jacb Kasher,Justin Franks
プロデュース :Charlie Puth

ミディアムテンポで中毒性のあるビート・グルーブ感のある楽曲です。

2017年リリース 4thシングル『Attention』と物語が続いているとインタビュー(以下動画)で回答しています。『Attention』が男性目線で別れてしまった女性に対し嘆いている内容で、『How long』が別れた女性から「遊びだったの?」と問われ謝罪している内容だと捉えることが出来ます。2作品の物語が続いていると考えると、登場する男女の関係性が浮き彫りになりますね。男性の立場が急落する描写が妙にリアルに思えます。

・インタビュー動画(楽曲について)


・インタビュー動画(作曲の過程について)




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楽曲分析

原曲Key=C#m(Cシャープマイナー)

原曲BPM=118くらい

コード進行
 イントロ・Aメロ
  C#m→B→A→B(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅶ)
  C#m→B→A→G#(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅴ)

 Bメロ
  F#m9→G#m7(Ⅳ→Ⅴ)
  F#m9→G#m7→C#7(♭9)(Ⅳ→Ⅴ→Ⅳのドミナント)
  F#m9→G#m7→AM7→G#sus4・G#(Ⅳ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅴ)

 サビ
  C#m→B→A→B(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅶ)
  C#m→B→A→G#(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅴ)
  C#m→B→AM7→B(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅶ)
  C#m→B→AM7→G#7(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ→Ⅴ)

コード進行と伴奏、メロディー



全体像を把握するためにコード進行から見ていきましょう。

コード進行

まずは、イントロ・Aメロ・サビで使われているコード進行です。
全体を通してナチュラルマイナースケールが使われています。

C#m→B→A(Ⅰ→Ⅶ→Ⅵ)と順次に下がる進行は共通ですね。
1回目は、B(Ⅶ)が続き、そのあと順次に上がってまたC#m(Ⅰ)へと戻ります。こういった順位進行は落ち着いた印象を与えます


2回目は、ちょうど歌のフレーズの切れ目にあたる箇所にG#(Ⅴ)が置かれています。
G#(Ⅴ)は不安定な響きがあり、安定した響きをもつC#m(Ⅰ)へと解決したくなるコードです。コード進行に大きなモーションをもたらすので、展開箇所や転調などによく使われます。これをドミナントモーションといいます。


サビでは2回目の繰り返しの際にAとG#のコードにそれぞれM7(長7度)とm7(短7度)の音が付加されています。
C#m→B→AM7→Bという進行は、ベース音だけみるとこれまでと同じく順次進行になっています。
AM7はM7(長7度)のソ♯の音が付加されたことにより、構成音はラ・ド♯・ミ・ソ♯となりラの音の上にC#mのコード構成音が乗っかった形をしています。つまり順次進行するベース音の上にC#m→Bが繰り返し鳴っていることになります。

また、フレーズの終わりに表れるG#7はG#と同じくドミナントモーションを仕掛ける役割があります。m7(短7度)のファ♯の音が付加されたことにより、より不安定なサウンドに変化し、C#m(Ⅰ)へと解決しようとする感じが高まります。




続いて、Bメロのコード進行です。

Bメロではギターと鍵盤が伴奏に加わり音数が増え、コードが付加和音(7thや9thなどの音が付加されたコード)の形態になっていたり、代理和音が使われたりしていますね。

音の構成が少し複雑に見えますが、Ⅳ→Ⅴの進行を基調とした進行のようです。


F#m9→G#m7(Ⅳ→Ⅴ)の進行ですが、
コードごとに構成音を見ると
F#m9:ファ#・ラ・ド#・ソ#
G#m7:ソ#・シ・レ#・ファ#
となっていて共通の音が含まれていることが分かります。
また、共通音に挟まれた構成音 ラ・ド#はシ・レ#へと順次に音が上がっています。
これにより音の跳躍がなく滑らかな進行になっています。


C#7(♭9)はF#m(Ⅳ)のドミナントにあたるコードです。
F#mをⅠとしたときのドミナントつまりⅤのコードにあたるのがC#7です。
C#7→F#mとしたときに先述したドミナントモーションが起きます。
これはドッペルドミナントやセカンダリードミナントと呼ばれるコード進行・コード機能です。

ここではC#7に♭9thの音を付加して使用されています。
♭9thはしばしばⅤのコードに加えられることがある音です。
他の構成音と馴染まないので、サウンドに独特の響きをもたらします。
詳しくは“テンションノート”で調べてみてください。

ちなみにこんな音です。
C#7とC#7(♭9)の音の響きに注目してみてください。



Bメロの終わりに現れるAM7について。
AM7は共通音が多いF#m9の代理コード的な立ち位置になっています。
AM7:ド#・ミ・ソ#
F#m9:ファ#ド#ソ#

さらにAM7は続くG#sus4・G#コードへと構成音の一部を半音ずつ変化させて進行しています。
AM7:・ド#・・ソ#
G#sus4:ソ#ド#レ#
G#:ソ#・シ#(ド)・レ#
さらにAM7→G#sus4、G#sus4→G#と進行する際、半音変化する音以外はそれぞれの共通音になっていて、共通音は変化せず残っている(保留している)ので、音の流れが非常に滑らかです。

そして、Bメロ最後のG#はドミナントモーションを伴いサビ頭のC#mへと展開するようになっています。半音進行からのドミナントモーションの流れがきれいですね。





伴奏


さて、続いてはベースやギター、鍵盤などの伴奏についてポイントを絞って解説していきたいと思います。

まず、冒頭から存在感の大きいベースについて。

ベースは楽曲の大半で上記譜面を演奏しています。
オリジナル音源では、4小節目(フレーズの切れ目にあたる箇所)で「ブーン」とベースのグリッサンドが重ねて録音されています。

ベースで注目すべきはリズムと音程です。
リズムは聞いての通り、「ダン、タッタン」とノリの良い感じです。強拍にあたる1・3拍目にアクセントが置かれており、2・4拍目の八分音符が1・3拍目に引っ掛けるような感じで前へ前へ進んでいくフレーズです。

音程は#が付いている箇所に注目したいです。
『How long』はC#m(Cシャープマイナー)という調で以下の音階で構成されています。
 ド# レ# ミ ファ# ソ# ラ シ ド#
この並びをナチュラルマイナースケールと呼び、コードにおいてはこれがそのまま使われています。
しかし、ベースではラ・シに#が付いて半音上がった音が使われています。
音階で並べると以下のようになります。
 ド# レ# ミ ファ# ソ# ラ# シ# ド#
この音階をメロディックマイナースケールといいます。

メロディックマイナースケールでは、主音であるド#との結びつきを強くするため、シの音を半音上げド#と半音関係にあるシ#にしています。そうすると、ラとシ#の間に音程の幅が開きすぎるのでラをラ#にして音階の流れを滑らかにメロディアスにした結果がこの音階になります。

メロディックマイナースケールを使うと、シ#→ド#の流れがドミナントモーションのように強い音のモーションを生むのでフレーズに動きやメリハリが出ます




続いて、ギターについてです。

ギターはワウペダルが使われたサウンドが特徴です
「ワウワウ」と音が反響して鳴っているような不思議なサウンドです。
Bメロから登場しているので是非耳を傾けて聴いてみて下さい。

ちなみにサビからはクリーントーンのギターも演奏に加わっています。
そして2番のAメロではクリーントーンのギターがリズミカルに音を刻んでおり1番とサウンドの差別化がされています。



伴奏最後は鍵盤についてです。
鍵盤はエレクトリックピアノが使用されています。
エレピはBメロから登場しますが、シンプルにコードトーンを伸ばして弾いています。間奏では先述したベースのフレーズに併せてコードを弾いています。ベース単体では出せないコード感をエレピが演出しています。



歌(主旋律)

解説の最後の項目として歌パートで特に気になる箇所を取り上げたいと思います。


まずBメロのワンフレーズ
「She said~」の箇所です。


このフレーズの特徴は裏拍が強調されている点です。
前半の2小節間は、8分音符の裏から音が始まっています。クリック音を8分音符の表にしているので、クリック音とメロディーの音が交互に聞こえると思います。本来弱拍となる箇所にアクセントを置く形となるので、シンコペーションになっています。

また、後半2小節は8分音符の倍の16分音符の裏で音をとっています。前半と比べて音数もスピードも倍ほどになっていて通して聴くとメリハリがきいていることが良く分かります。

この箇所は伴奏やコード進行の変化も伴って曲中のアクセントになる役割を担っていると感じがします。




最後にサビ冒頭箇所。

ここでも注目したいのはリズムに関することです。

このフレーズを楽譜に起こすと上記のようになると思うのですが、実際は音符ひとつに対し2つの音があてられている箇所があります。それが赤丸で囲った箇所です。

この赤丸箇所はCharlie Puthが特にリズミカルに歌唱している箇所で、赤丸で示したように単語を2つの音節で区切ってリズムをとっています。音価でいうと8分音符2つをそれぞれの音節に当てています。要は8分音符の裏も感じているということです。ちなみに、ライブとなるとさらに細かく16分音符の裏までとって表現することもあります。

一方、2回目の同じフレーズでは1回目と比べてゆったり音をとっているので比較して聴いてみるのも面白いかもしれません。1回目とどこが違うか是非聴き分けてみてください!


フレーズ最後の「goin on」ですが、これは4分音符→付点8分音符→16分音符と急激に音の長さが短くなり音が休符で切れるかたちになっています。ゆったり音をとったり、長めの音にしていてもフレーズとして成立しそうですが、あえてリズムの緩急をつけたことによって聴き手がはっとするきっかけになっています。



以上、Charlie Puthの『How long』の解説でした。
ポイント絞ったつもりでしたが、思いのほか長文になってしまい見づらくなってしまいました。それだけ熱量が高かったということでどうかご容赦ください。




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聴きどころ


『How long』は是非ライブパフォーマンスを視聴してください!
Charlie Puthの公式アカウント他YouTube上に公式の動画が数点アップされています。

『How long』はDTMで作られた音源がもとになっているようですが、ライブとなると生音主体になるので迫力が違います!特にドラムスは要注目です!

バンド形態でのアレンジとなっているところもいいですね!









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