『Attention』 楽曲分析・解説



楽曲分析シリーズ!
今回は Charlie Puth の『Attention』です。
楽曲の魅力や構造について解説していきます。


✅ YouTubeにも動画解説を上げました。
 是非併せてチェックしてみて下さい!





✅ Charlie Puth のプロフィールはコチラ



楽曲概要



2017年リリース 4thシングル
作曲 : Charlie Puth,Jacb Kasher
プロデュース :Charlie Puth

キレのあるリズムと切ない旋律が合わさったかっこいい楽曲です。
『Attention』のオリジナルアイデアは2016年の日本ツアー中に思い浮かんだそうで、2018年リリース2ndアルバム『Voicenotes』のために制作を進めたそうです。




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楽曲分析

原曲Key=E♭m(Eフラットマイナー)

原曲BPM=100

コード進行
 E♭m→D♭→B♭m→C♭(Ⅰ→Ⅶ→Ⅳ→Ⅵ)
 

コード進行と伴奏、メロディー



まずはコード進行から見ていきましょう。

コード進行


コード進行は楽曲を通して同じものが循環して使われています。
『Attention』のキーはE♭m(Eフラットマイナー)ですが、コードはナチュラルマイナースケールによるものが使われています。

コードの機能(カデンツ)を考えると、マイナーのキーにおいてはハーモニックマイナースケールを使うのが音楽理論的には基本となりますが、現代の大衆音楽ではそれにとらわれないことが多いです。

ナチュラルマイナースケールとは、主音から順に“全・半・全・全・”(※)と並ぶスケールです。※全:全音、半:半音。ドレミでいうと、“ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・シ♭・ド”です。

ハーモニックマイナースケールとは、ナチュラルマイナースケールの7番目の音を半音上げて主音から順に“全・半・全・全・全+半”と並ぶスケールです。ドレミでいうと、“ド・レ・ミ♭・ファ・ソ・ラ♭・・ド”です。7番目の音を半音上げると主音と半音の関係になるので、7番目の音から主音へ移ろうとする作用が強くなります。この半音上げた音は導音といいます。




コード進行を譜面に起こすと以下のようになります。
(実際のボイシングとは多少異なります。)


音の構成に注目してみます。
ベース音は、ミ♭→レ♭→シ♭→ド♭と滑らかな下行上行(音程の跳躍が少なく、突拍子な音の変化がない)になっています。このベース音は繰り返されるので、シ♭→ド♭の次は頭のミ♭に戻りますが、これにより音程の山と谷が繰り返されコード進行に滑らかな動きをもたらします

そして、コード構成音の青で示した音をみてみると、ミ♭・ソ♭→レ♭・ファ→レ♭・ファ→ミ♭・ソ♭と2パターンの音の構成が繰り返されており、聴き馴染みやすい綺麗な流れになっています。

コード進行全体でみても音の運びが滑らかで聴き心地の良いものになっていることが分かります。大きな音の変化がない分、同じコード進行を繰り返していても違和感がありません。




伴奏

次に特徴的なギターとベースの伴奏についてみていきましょう。

まずは、ギターのリフです。


ギターのリフはコード進行が1小節単位で音の山と谷を作り上げていたのに対し、半小節(1小節内)で音の上行下行を作っています。

基本的にコードの構成音を使っていますが、下行形で一部経過的にコード構成音でない音(非和声音)が使われています。また、4小節目4拍目裏に表れるレ♮の音ですが、これはハーモニックマイナースケールによる音で主音であるミ♭へ導く音(導音)として登場しています。前後の音を合わせるとレ♭→レ♮→ミ♭と半音階になっており、音に動きが出るとともに音の流れがきれいです。



つづいて、サビ以降登場するベースについてです。


個人的には『Attention』はこのベースを盛り込むために作られたんじゃないかと思ってしまいます。


リズム面ではギターやピアノが4分音符や8分音符基調であるのに対し、ベースは細かく16分音符でキレのある演奏をしています。リズムのメリハリがついています。

また、楽曲内の演出として1回目のサビで歌とベースのデュオになっているのですが、これが最高にかっこいいです。ポップスなどでは他楽器の音に埋もれやすいベースなので、『Attention』のこの演出は独創的だと思います。


音の構成面では2小節目が特徴的です。シ♭♭(ダブルフラット)という音が登場しますが、これはブルーノートと呼ばれる音でブルースやジャズなどでよく使われる音です。ピアノ鍵盤上でいうとラ♮と同じですが、音の理解としてはマイナースケールの5番目の音(Key=Emではシ♭)が半音下がった音と捉えたほうがよいです。


演出といいブルーノートといいジャジーな要素が盛り込まれていてかっこいいですね。




歌(主旋律)

最後に歌唱箇所をみてみましょう。
※特徴的な部分だけ抜粋しました。


まず、サビ前の「I know that dress is karma」の箇所です。
切なげな歌いだしである1小節目はペンタトニックスケールといって、4・7番目の音を除外した音階が使われています。(Key=Emではラ♭とレ♭の音)

3小節目アーフタクト(2小節目4拍目8分音符の裏ラ♭の音)からはシンコペーションのリズムが強調されています。本来弱拍にあたる箇所に強拍(長い音符)がくることで、聴き手をはっとさせる効果があります。特にこの箇所は歌でも強めに歌唱しているので、緊張感が強まりより印象的で次に大きな展開がくることを予感させてくれます





最後にサビについてです。
サビはコード進行やギターのリフと同様音程の上下が滑らかです。音程をたどると波のように上行と下行が交互に繰り返されています。一方、ベースが跳躍のある音程を跳ね気味に演奏しているので歌とのコントラストが面白いです。

音域的には一般の成人男性にとっては少し高めですが、Charlie Puthはこの音域でも裏声も地声もきれいに出しています。

ライブでは後半でフェイクが入ることが多く、よりエモーショナルな演出がされています。




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聴きどころ


『Attention』は是非ライブパフォーマンスを視聴してほしいです!
原曲もとってもいいですが、ライブとなると各楽器が生音になって迫力が増すのと、Charlie Puthの歌唱力の高さに圧倒されるのでおすすめです。

注目点としては、リズムを出すためのゴーストノート(フレーズ間で「アッ」という箇所)がすごくセクシーであることと、曲終盤のゲネラルパウゼ(全休符)とその後のサビの入りがグッとくるというところです。

Charlie Puthは本当にライブパフォーマンスが最高です!









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