『Grenade』 楽曲分析・解説

楽曲分析シリーズ!
今回はBruno Marsの『Grenade』です。
楽曲の魅力や構造について解説していきます。



✅ YouTubeにも動画解説を上げました。
 是非併せてチェックしてみて下さい!



✅ Bruno Marsのプロフィールはコチラ



楽曲概要



2010年9月28日リリースの2ndシングル。
2010年10月5日リリースの1stアルバム『Doo-Wops & Hooligans』収録曲。

作詞 : Bruno Mars, Philip Lawrence, Ari Levine, Brody Brown, Claude Kelly, Andrew Wyatt
作曲 : Bruno Mars, Philip Lawrence, Ari Levine, Brody Brown, Claude Kelly, Andrew Wyatt

ピアノのアルペジオとブルーノの歌声に切ない気持ちになります。
愛する人のためなら何でもする…君のためなら“手榴弾”でも掴んでやるさ!というような内容の歌詞です。愛のためなら死すらいとわない、そういったニュアンスでしょうか。




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楽曲分析

原曲Key=Dm(Dマイナー)

原曲BPM=120くらい
ライブパフォーマンスではBPM=100-105くらい

コード進行
 Aメロ:Dm→Am(Ⅰ→Ⅴ)
 ※ナチュラルマイナー(ドが♯していない、導音がない音階)
 
 サビ:Dm→B♭→F→C(Ⅰ→Ⅵ→Ⅲ→Ⅶ)
 ※サビはF(Fメジャー)と捉えると、Ⅵ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ



まずは、冒頭のピアノのアルペジオです。

音の構成としてはシンプルで、Dmをレ・ファ・ラ、Amをラ・ド・ミとばらして上の音から順に弾いています。一つ、ナチュラルマイナーの音階になっているということは注目したいですね。詳しい説明は割愛しますが、ナチュラルマイナーとは、短音階(マイナー)の自然な音の並びのことだと思ってください。

連続したマイナーコードがこの曲の切ない雰囲気作りをしています。


ちなみに、ハーモニックマイナーだと以下のような音になります。ハーモニックマイナーは、ナチュラルマイナーの七番目の音(ド)を半音上げたものです。

後半がAmではなくAになってしまったので、マイナーの暗さ加減が軽減され、また異なった聴こえ方になりますね。

実は、フレーズの終わりや次の展開を思わせる場面でこのハーモニックマイナー、つまりAのコードが使われています。

今までAmが使われていた箇所にAがくることによって、ハッとさせられませんか?

このコードの使い分けはにくいなーと思ってしまいます。


あと、Aというコードの機能はもう一つあって、それは平行調であるFメジャーへの転調をしやすくするというものです。平行調は音の並びが同じマイナーとメジャーの音階の関係です。この場合、マイナーはナチュラルマイナーの音階。DマイナーならFメジャー、AマイナーならCメジャーのように。

もともと平行調への転調は容易なものですが、DナチュラルマイナーにはなくFメジャーにはあるAというコードを起点にすることで、転調がよりスムーズに行われています。当然、DハーモニックマイナーにはAは存在するので、Dマイナーの調においてもAというコードは違和感を感じないのもポイントです。

しかし、サビはFメジャーであると同時にDナチュラルマイナーともとれるコード進行をしています。実際どちらなのかは判別ができません。Fメジャーに転調させたが、Dナチュラルマイナーの雰囲気を残している作りということで個人的には納得・理解させています。


問題のサビです。

まず、Fメジャーと解釈してみましょう。
その場合、コード進行はⅥ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴです。
並びこそ違いますが、Ⅰ→Ⅴ→Ⅵ→Ⅳの進行はポップスではよく使われる「感動させるコード進行」です。有名どころだと、The Beatlesの『Let It Be』やアナと雪の女王主題歌・挿入歌の『Let it go』、スピッツの『チェリー』冒頭などがこの進行を使っています。

続いて、Dナチュラルマイナーと捉えると、Dm→B♭→F→C(Ⅰ→Ⅵ→Ⅲ→Ⅶ)という進行になっています。どちらが正解かは分かりませんが、Fメジャーと捉えた方がコード進行の理解はし易いかと思います。

マイナーともメジャーとも言い切れないこのサビのあいまいさは、楽曲の魅力の一つといえます。
これがもし、マイナーを前面に押し通す曲であったなら、曲中ずっと暗く、しつこくなっていたかもしれませんね。




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聴きどころ

『Grenade』は、先述の通りマイナーとメジャーのあいまいさを含んだ楽曲なので、その辺りを感じとってもらえるとより聴き込めるかなと思います。

あとは、なんといってもブルーノの歌です!
甘く切ない声質に、エッジを利かせた歌唱、高音域でも伸びやかなミックスボイス、フレーズ間でスパイス的に入るフェイクなど、魅力盛りだくさんです!

Billboard Studioで披露された弾き語り版の『Grenade』を貼っておきますので、是非ご視聴ください!原曲よりテンポを落として、シンプルな楽器構成で演奏しているので、ブルーノの歌により注目して聴くことが出来ると思います!



余談

『Grenade』発売後のインタビューで語っていたことですが、MVに登場するピアノは本物らしく、てっきり発砲スチロールか何かの類だと思っていたブルーノはMVの撮影中重いピアノを引っ張ったり押したりと大変な思いをしたとのことです。

遠路はるばるピアノを運んだのに、愛する人に彼氏が出来たショックで途中引き返すシーンはとっても可哀そうで愛らしいので、是非MVもご視聴ください!





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