コード進行解説#6 Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ(4151) 重要度:★★☆☆☆


ソプラ
ソプラ

今回は「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」というコード進行についてみていこう!

アルト
アルト

うん!よろしくお願いします。







重要度:★★☆☆(余裕があれば覚えておくといい!)

基本的なコード“Ⅰ”“Ⅳ”“Ⅴ”を組み合わせたコード進行です。シンプルながらもコード本来の機能がよく分かるコード進行です。





Contents






「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」はどんな音がする?


まずはどんなコード進行なのか聞いてみよう!



聞いてみてどうだった?
感想聞かせて!

あれ?前回の「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」と同じような感じがする!なんだか跳んだり跳ねたりな印象…




お!するどいね。実は、開始のコードの順番が異なるだけで「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」と構成は全く同じなんだ。




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よし、もう少しじっくり聞いてコード進行の印象を深めよう!

僕たちが抱いた印象に分析を加えたものを下にまとめてみたよ!




構成と展開
“Ⅰ”安定感・落ち着きのある感じ
“Ⅳ”“Ⅴ”では緊張感・高揚感が高い

展開としては、“Ⅰ”の落ち着いた感じと“Ⅳ”や“Ⅴ”の緊張感と高揚感が高まりの感じが交互に配置されています。

個々のコード
“Ⅰ” “Ⅳ” “Ⅴ” の3つのコードは音に濁りがなく整った音色をしています。“Ⅳ”と“Ⅴ”はコード進行の中で聞くと不安定さを覚える音色がします。




内容も「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」と同じだ!ブログの執筆が楽になるからイイね!


そ、そうだね…

でも、音楽理論的には二つのコード進行は少し扱いが異なるんだ。それはあとで詳しく見ていこね!








映像・イメージ


コード進行を覚えたり、使いこなすためには映像やイメージを思い浮かべる想像力が大切だと考えます。 ここでは筆者が思い浮かべた映像・イメージを例として紹介しますが、少しでも参考になれば幸いです。 



ここでは音と映像・イメージを結びつける練習をするよ!

そうそう!音楽に必要な想像力を養う機会だと思って一緒にやってみてね!


でも、今回の内容は「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」と同じだから、すでに見たよっていう人は理論の項まで飛ばしてみてね!



複数人が円に踊りを踊っている様子

静→動→静→動を繰り返す感じがキャンプファイアーや学校行事などで行う手と手を取り合って踊るダンスのイメージと重なりました。



映像②


広場で子供が元気よく遊びまわっている

音色や音の雰囲気が滑らかに変化するようなタイプのコード進行とは異なり、音の変化がはっきりしていてそのイメージが元気ではつらつとした子供が走り回る映像と重なりました。






イメージを共有できればと思って、「映像①」をもとにしたショートムービーを作ってみたよ!よければ見てみてね。








人によってイメージが色々あると思うけど、大切なことは自分なりのイメージをもつということだね!

なるほど!音楽はクリエイティブなものだからこういうことは大切だね!




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音楽理論・コード理論からのアプローチ



ここからは音楽理論やコード理論の話をしていくよ!

こういう音の構造だからこういう風に聞こえるんだ」と納得してもらえるよう頑張るよ!



小難しい話が出てくるけど、初心者は始めから一気に理解しようとしなくて大丈夫!僕も徐々に覚えていったよ。



コードの機能について


各コードは、
“Ⅰ” : トニック(安心・安定感)
“Ⅳ” : サブドミナント(少しの緊張・不安感)
“Ⅴ” : ドミナント(緊張・不安感)
の機能をそれぞれ有しています。



機能 = 役割 だね!各コード機能をどう配置するかによってコード進行のキャラクターが決まるんだ!




これを「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」に当てはめると以下のようになります。



「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」のときと同じように、止まっているイメージと動いているイメージが交互にきているね!

そうだね!開始のコードの順番が異なるだけだからこういう風になるよ!コードの機能も共通だね。




「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」は主要三和音“Ⅰ”“Ⅳ”“Ⅴ”から成るコード進行です。主要三和音はトニック・サブドミナント・ドミナントのコード機能が最もよく働くそれぞれを代表するコードです。

ですから、「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」はコード機能の変化が分かりやすいのが特徴です。また、緊張感や不安定感をもつ“Ⅳ”と“Ⅴ”の間に安定感のある“Ⅰ”が挟まることで、緊張感とそれの解消が交互に起こっているのも特徴です。





導音と主音


次はこのブログでもお馴染みの導音と主音の話をするよ!

知ってるよ、覚えているよって人は読み飛ばしてもらって大丈夫!




コード進行や音階を考えるときに、出発点・基準となるのが“ⅰ”という音(ドレミでいうとドの音)です。次にどういう音に展開しようが、最後に“ⅰ”に戻ってくると「フレーズが終わった」という終止感が出るのも特徴です。

こうした性質から“ⅰ”は主音と呼ばれています。多くは楽曲やフレーズの始まりや終わりに用いられます。


“ⅰ”は安定した音色をもっていますが、半音下がることでその安定さが崩れて“ⅶ”という音(ドレミでいうとシ)になります。逆をいえば、“ⅶ”はその不安定さを解消したいがために“ⅰ”へ移行しようとする働きを持っています

こうした性質から“ⅶ”は導音と呼ばれ、“ⅰ”の直前に用いられることが多いです。


音楽は緊張と緩和によって成り立っているのですが、主音と導音はそれを成す代表格という訳です。


今回のコード進行の中では、導音と主音は“Ⅴ→Ⅰ”の部分に含まれています

“V”を構成する音は“v・・ⅱ”。
(ドレミでいうと、ソレ)

“Ⅰ”を構成する音は“・ⅲ・ⅴ”。
(ドレミ でいうと、 ミソ)


“Ⅴ→Ⅰ”で印象を受けるすっきりとした感じはこの主音と導音の働きによるものだったという訳です。



「Ⅴ→Ⅰ」で終わる今回のコード進行はこの導音と主音の働きによって、きちんとフレーズが終わった感じがするね!




半音進行



半音進行ってなんだっけ?

これも前回「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」でも解説したんだけど、言葉の意味としては半音で音が移行することだよ。前項の導音と主音もそうだけど、半音で移行することで一定の不安感が解消されることがあるんだ。

この不安定さが解消される感じは、音の変化としては強い動きを印象付けるんだ!同じように半音で移行する音も強い音の動きを感じるよ!これを半音進行としてこれから紹介するね!



半音間の音の移行は力強い音の変化を持っています。また、半音の音程は音の結びつきが強く、半音で移行する進行つまり半音進行は特徴的な音色を印象付ける効果があります。

その中でも、前項で紹介した導音と主音(ドレミでいうと、シとド)や、「ⅳ→ⅲ」(ドレミでいうと、ファ→ミ)の半音の関係は特に力強い音の変化を持っています。


音には特定の音へ移行しようとする性質があり、こういった性質をもつ音をデンデンシー・ノートと呼びます。特に、“ⅶ”は“ⅰ”へ、“ⅳ”は“ⅲ”へ移行しようとする性質が強く、移行前の“ⅶ”や“ⅳ”はいわば不安定さを感じさせるようなもどかしい音色を持っています。そして“ⅰ”や“ⅲ”に移行することで、そのもどかしさは解決され、力強い音の変化をもたらすというわけです。



「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」の進行の中では、「Ⅳ→Ⅰ」に「ⅳ→ⅲ」の半音進行が含まれています。「Ⅴ→Ⅰ」にも「ⅶ→ⅰ」という半音進行が含まれているのですが、こちらについては前項を参照してください。


前述の通り「ⅳ→ⅲ」は不安定さを解消する力強い音の変化があります。“ⅳ”は“ⅲ”へ移行前の状態では不安定さがあり、“ⅲ”はそれを解消する働きがあるからです。

コード機能の話に立ち返ってみると、“ⅳ”を含む“Ⅳ”が不安定感のあるサブドミナント“ⅲ”を含む“Ⅰ”が安定感のあるトニックであることに納得がいくかと思います。(“Ⅰ”がトニックであるのは“ⅲ”を含むこと以外にも理由があります。つまり“ⅲ”を含むコードは全てトニックであるとはなりません。)



このように半音進行は力強い音の変化とともに不安定感とそれを解消させる印象を聞き手にもたらします「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」を今一度確認してみると、「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ」にも「Ⅰ→Ⅴ(→Ⅰ)」にも半音進行が含まれていることが分かります

ですから、コード進行としてひとまとめに聞いたときに全体的に力強くはつらつとした印象を受けるのはこのためです。



 

「跳んだり跳ねたり」の感じがするのはこの半音進行の影響受けてたってことかな!

まぁそうだね。半音進行に乗せてコードがトニック→サブドミナント→トニック→ドミナントと変化しているからだね!








全終止



全終止?全部終わるってこと?

そうそう!最後のコードによって、「完全に終わった」っていう印象を与えるときの話だよ。



コード進行の最後のコードは全体の終止感を決定づけるので非常に重要です。前回#5「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」の記事では、半終止を取り上げました。ここでは簡単に、半終止とは終止感をもたないコード進行の結びと説明をしておきます。全終止とは半終止と対照的で終止感が強いコード進行の結びのことです


全終止は安定感のあるトニックとりわけ主音をベースにもつ“Ⅰ”がコード進行の最後に置かれている状態のことを指します。同じトニックでも“Ⅵ”が最後に置かれている場合は偽終止と呼びます。


終止形は構成音の並び方(音の高さ)や拍・リズムなどによっても上記以外に分類されるものがあります。今回は全終止を理解するために、対照的な半終止と比較しながらその違いをみていきましょう。




全終止には終止感があり、半終止には終止感がないという話でした。では、実際に全終止の「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」と半終止の「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」を聞き比べてみましょう。



全終止「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」



半終止「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」


全終止は「終わった」って感じがあるけど、半終止はその先まだ続きそうな感じがする!

そうだね!半終止がなぜそうなるか詳しくは「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」の記事で確認してみてね。





聞き比べていただくと、「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」の“Ⅰ”には絶対的な終止感があると感じていただけると思います。



一方、“Ⅴ”で終止している「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」は“Ⅴ”の先に何か続きそうな、具体的には安定感のある“Ⅰ”に展開しそうな予測が立つと思います。

実際の楽曲での用例では、「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→」は「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」といったかたちのように“Ⅰ”を次にあてがわれることが多いです。これはドミナントである“Ⅴ”とトニックである“Ⅰ”は、お互いに結びつきが強い関係にあるためです。(詳しくは前々項の「導音と主音」を参照してください。)



両コード進行をみてみても“Ⅰ”というトニックの存在が大きいように思えます。“Ⅰ”で終止すると“絶対的終止感”があり、“Ⅰ”で終止していないと「Ⅰ→Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ」のように終止感が欠落します。

ちなみに、“Ⅵ”や文脈によって“Ⅲ”もトニックに分類されますが、“絶対的終止感”という意味では“Ⅰ”が抜きんでいてます。この絶対的終止感を以ってフレーズを終える状態が全終止というわけです。



余談ですが、よくある作曲テクニックの一つとして、「Ⅴ→Ⅰ」という進行を「Ⅴ→Ⅵ」に変えてあえて“絶対的終止感”をなくすことがあります。これは絶対的な終止感の“Ⅰ”がくると期待する聴き手を裏切る作曲方法です。

とはいえ、現代においてはこの裏切り手法はすでに当たり前になっていて、裏切り感はあまり感じえないのですが、それでも終止感を薄めコード進行をループさせたり、異なる展開にもっていったりと何かと音の運びを円滑にする便利な手法として活躍しています。

“Ⅵ”での終止は偽終止といいます。このブログでは偽終止のコード進行も多く解説しているので、ご興味があれば下のタグを押すと該当のコード進行の記事が表示されますので是非ご覧ください。

偽終止









「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」が使用されている楽曲


最後に「Ⅳ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅰ」が使用されている楽曲を紹介するよ!

随時、リストを更新していくね!あと、音源を準備しているから更新を待っててね。



  • 『Blowin’ In the Wind』(1963年)/Bob Dylan
  • 『Hey Jude』(1968年)/The Beatles


※2021年10月27日現在、音源を準備中です。






最後まで見てくれてどうもありがとう!

よければ他のコード進行の記事も見ていってね!

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