和声法をなぜ学ぶのか

「和声法の禁則は、現代のポップスでは関係ない」
「和声法は必ずしも正しいとは限らない」

そういった意見を見聞きすることがあります。
一理あると思います。

では、なぜ和声法を学ぶのでしょうか。
はたまた和声法は不要でしょうか。


和声法とは

和声法とは「(主に古典的な)西洋音楽における和音の進行や声部の導き方及びその配置について体系的にまとめた理論」のことです。

合唱、ビックバンド、オーケストラ、吹奏楽、ロックバンドetc 様々な形態に通ずる「気持ちの良い音の組み立て方」の基礎が和声法だともいえるでしょう。


一般的な和声法では、“禁則”と呼ばれるルールが存在します。また、「この場合は避けた方が無難」という基準も同様にあります。これは、「気持ちの良い音」を作るために必要なものです。

成る程、確かにその禁則を破ってみると、ぎこちない音になったり、音が悪目立ちしたりと良くないことが多いです。

しかし、例えば現代のポップスでは、あえてその禁則を破っているケースや知らぬ間に禁則に触れてしまっているケースがあります。


ポップスでは和声法は必要ない

ポップスでは和声法の禁則やルールを破るケースが少なくないので、「ポップスでは和声法は必要ない」と解釈されることもあるかと思います。


後述しますが、和声は絶対的な理論・普遍的な理論ではありません。日々、音楽は進化しますし、音楽の新しい聴き方・解釈の仕方というものが出てきておかしくないはずです。ですから、常に新しい音楽が生み出されるポップスのシーンでは和声法が絶対とはいえないのです。


しかし、一方、和声法には「人が聴いていて心地良い音楽」のエッセンスがつまっています。和声法が(主に)古典的な音楽をもとに体系化されているとはいえ、良いものが積み重なって出来たものですので、和声法に則った音楽はやはり聴いていて心地良いです。

和声法の禁則に反することは、悪ではないと思いますが、音楽としてバランスをとるのがそれなりに難しいと思います。そのバランスを感覚的にとれる人もいるでしょうが、やはりまずはルールを知ったうえでその調整をした方が実行しやすいでしょう。

そして、先にルールがあって、それを破ることで新たな価値が生み出されるものですから、ポップスにおいても和声法が基礎にあるのが良いと思います。


和声法は古い

先の話で「和声は絶対的な理論・普遍的な理論ではありません」としましたが、そう言えるのは、音楽理論は、先に実践(演奏)があって、後から理論が追い付いてくるものだからです。


現代の音楽は、西洋音楽にルーツをもつものが多いです。そして、それは主に古典的な西洋音楽がベースとなっています。和声法は(主に)古典的な西洋音楽をベースに体系化された音楽理論です。ですから、かつての西洋人が演奏・作曲してきたものが今の和声法に礎となっているのです。

しかし、時代が進むにつれ音楽のジャンルも演奏方法も聴き方も多様化してきました。その中で和声法では説明つかない(例外の)音楽もあると聞きます。和声法は現代の音楽を全て網羅するような万能な理論ではないのでしょう。

だからといって、和声法が不要ということにはなりません。和声法の例外があるならば、それを認め理論の中身をブラッシュアップしていけばよいと思います。

ただ今は理論が追い付いていない節があるのかもしれませんが、それは音楽の発展の仕方・理論の成り立つ過程を思えば当たり前のことなのでしょう。


なぜ和声を学ぶのか

最後に、「なぜ和声を学ぶか」について説明したいと思います。

まず学ぼうと思い立つのは、音楽学校に入学しようとする人か、プロの作曲家・ミュージシャンを志す人か、音楽が大好きな人だと思います。それ以外で和声法を学ぼうと言う奇特な人はいないと思います。彼らは、和声の仕組みを知り、それを用いり、型を壊し、新しい音楽を創造する人たちです。


話が前後しましたが、和声法を学ぶのは、西洋音楽の礎を知り、そこから音楽を発展させるためだと思っています。もちろん和声法が全てではないので、和声法を過信するのは良くないのかもしれません。しかし、和声法をなくして音楽をより高度なものに発展させることは難しいことでしょう。


とはいうものの、和声法を学ぶのはなかなか根気が要るものです。“芸大和声”と呼ばれる音楽学校の教材として用いられ、ポピュラーな理論書である『和声 理論と実習(音楽之友社)』を読み解いて理解するのも苦労します。

音楽という特性上、実践(演奏)がなければ理解がままなりません。学ぶには、環境を整える必要があります。音楽学校に入学するのが一番手っ取り早い方法かもしれませんが、都合がつかない人が多いことも理解できます。

ですから、独学でも和声法を習得できるよう、筆者自身も精進し、理解に苦しんだポイントを実践結果として文章と音でまとめて記事にアップしていこうと思っています。

このブログでは先述の『和声 理論と実習(音楽之友社)』を基に記事をいくつか投稿しています。気になった方は是非、下のカテゴリーのボタンをクリックして関連記事をご覧ください。





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