『All of Me』 楽曲分析・解説



John Legendの『All of Me』の楽曲分析・解説ページです。

楽曲の構成や聴きどころ、歌のパフォーマンスを中心に解説していきます!


✅ John Legendのプロフィールはこちらからチェックしてください。



楽曲概要



2013年9月3日リリースの5thアルバム『Love in the Future』収録曲。

作曲 : Toby Gad,John Stephens
プロデュース :John Legend,Dave Tozer

※John StephensはJohn Legendの本名

ピアノと歌、コーラスのみで構成されるシンプルな楽曲ですが、シンプルな音構成だからこそ歌の良さが際立ちます。軽やかだけれども深みもあるJohn Legendの歌声がとても素敵です。

また、この楽曲は実の奥様のChrissy Teigen(クリスシー・テイゲン)に捧げられたものだそうで、MVにはChrissy Teigenご本人が登場し結婚式の様子まで映像に収められています。




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楽曲分析

原曲Key=A♭(A♭メジャー) or Fm(Fマイナー)
※導音の有無を考えるとA♭だが、
  コード進行的にFmのナチュラルマイナースケールの調性感がある


原曲BPM=120くらい

コード進行
 (Aメロ) Fm→D♭(D♭M7)→A♭→E♭
  ※冒頭部分は3度抜きのコード
 (Bメロ) B♭m→A♭→E♭
 (サビ)  A♭→Fm→B♭m/D♭→D♭/E♭→E♭

コード進行と伴奏



まずは全体のコード進行と伴奏をみていきましょう。

(1番 冒頭)


冒頭は3度の音(Cコードでいうミの音)を抜いた所謂パワーコードが使われいます。

3度の音はコードのキャラクターを決める大事な音です。例えば、「ド ソ」と鳴れば明るいCコードになりますし、「ド ミ♭ ソ」と鳴れば暗いCmコードになります。そして、ミを抜いて「ド   ソ」とすると明るさも暗さも感じない無機質な響きになります。

『All of Me』の冒頭は無機質な伴奏ですが、それのお陰でJohn Legendの優しく豊かな響きの歌声が映えます。冒頭からぐっと引き込まれるのはこういった仕掛けがあるからでしょう。ちなみに、2番からは3度の音を含むコードの伴奏になっています。1番とのメリハリが効いていいですよね。


↓ 譜面に起こすとこうなります。


注目点は、
➀付点四分音符のリズムが心地よい
②1・4小節目は、共鳴(響き)が強い1度と5度の音(Cコードでいうドとソの音)が使われている
③1から2、3から4小節にかけて音の保留(同じ音を残すこと/ミ♭とミ♭、ファとファ)をしている
④②と③のおかげでコードの音の変化はスムーズだが、響きの強弱がついている

ところです。



(2番 冒頭)


2番ではピアノのパターンが変わり音数が増え、1番との印象が異なります。3度の音が入り音の響きが柔らかくなりましたね。付点四分音符のリズムに加え、ベース音の裏打ちが入ることでよりリズミカルにもなりました。



(Bメロ

Bメロからはコードが変化するとともに、フレーズの頭(B♭mコードにあたる箇所)でアルペジオが入ります。以前伴奏は付点四分音符が主たるリズムです。



(サビ)

一見、複雑そうなコード進行ですが、
基本的なコードの捉え方は「A♭→Fm→B♭m→D♭→E♭」で、後はベース音が「A♭→Fm→D♭E♭→E♭」と変化しているため上記のコード進行になるという訳です。

サビでは八分音符主体のアルペジオで、フレーズの頭に付点四分音符が現れるリズムパターンになっています。


歌と伴奏のリズム


この楽曲の構成で着目すべき点は独特のリズムです。伴奏のリズムパターンは付点四分音符や八分音符のアルペジオなどと解説しましたが、歌に関しては伴奏とは異なるリズムをもっています。

例えば、冒頭では、伴奏のリズムが付点四分音符主体なものに対し、歌のリズムは八分音符と四分音符が主体になっています。この楽曲は2分の2拍子なので、歌は表拍になるはずなのに、伴奏が付点四分音符なため付点四分音符の裏拍で歌わなければならないという難易度の高い作りになっています。

↓ 実際に聴いてみるとリズムが取りにくいと感じるかと思います。



そして、サビですが、譜面の見た目以上にリズムが難しい箇所だと思います。

➀八分音符のアルペジオがはしりやすい(早くなりやすい)
②しかし、歌は伸びやかに歌う(長い音符や6小節目のシンコペーション箇所など)
③歌が音を伸ばしている又は休符の箇所で伴奏の裏打ちが入る

実は上記の様々なリズムパターンが入り組んだ難易度の高い箇所です。


これをさらっと弾き語りで歌いこなすJohn Legendってすごいですよね!歌唱力だけでなく相当リズム感がいいのだと思います。




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聴きどころ

リズムの難しい『All of Me』ですが、聴く時は小難しいことはさて置き、John Legendの甘くて響き豊かな歌声に魅了されましょう!

John Legendの歌声とピアノのコントラストが形容しがたいほど美しいです。サビに表れる裏声がぐっと切なくさせるのも素敵です。

音源も素晴らしいのですが、この動画の弾き語りは格別なのでリンクを貼っておきます。ニューヨークでのゲリラライブの様子です。John Legendの歌声に客がいっきに引き込まれている様子がよく分かります。



余談

『All of Me』というタイトルにはジャズの名曲もあります。Billie Holidayの楽曲です。

恥ずかしながら筆者は最近までこの曲を知らなかったのですが、Billie Holidayの『All of Me』は今なお多くの人にカバーもされる名曲です。是非こちらも併せてどうぞ!





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