今回は歌の発声に関するトピックで、巷でいう「あくびの口」について言及します!誰もが陥りやすいあくびの口の落とし穴について体験談をふまえながら解説していきます!
あくびの口って?
歌を習ったことがある人、歌(特に発声)解説のコンテンツを視聴したことがある人なら「あくびの口が大切ですよ」という話を見聞きしたことがあると思います!
あくびの口は、文字通りあくびをするときの口や首回りの状態を指します。あくびの動作って、口奥は広がり、喉が自然と開いている状態になりやすいのです。この状態って喉から口にかけての空間が広がり、声が響きやすくなっているんですよね!だから、発声を行う上で重宝されます。あくびの口をつくることで良い発声の体感を覚えようと言っているのですね。
普段、会話しているときの口や首周りの状態ってこれとは逆で空間は狭いです。あくびの前後で確かめると良く分かると思うのですが、普段は口奥(軟口蓋や口蓋垂と呼ばれる部位)が下がっている状態にあると思います。この状態のまま声を出しても歌に適した声の響きは得られません。
どういう歌が歌いたいかにもよるかと思うのですが、たいていの場合は声の響きというのはとても大切になってきます。声を響かせたい、遠くに声を届かせたい、声に深みがほしいなどの場合は特にですね。
歌手の平原綾香さんは声の響きについて対談でこのようにお答えされていました。(動画10:40から再生)
深くて響きのある歌声に定評がある平原綾香さんですが、「ただ響かせるだけ」とおっしゃるように声の響きをいかに大切にされているかお分かりいただけたかと思います。もちろん、声の響きは口や首周りだけの話ではないので他にも訓練が必要ですが、いい声の響きを得る足掛かりとしてあくびの口は有効でしょう。
あくびの口で陥りやすい間違い
あくびの口に関して、よく陥りやすい間違いがあります。
それはあくびの口を心掛けるあまり、かえって力んでしまうということです!
あくびの口というのは自然と口奥や喉が開いた状態をつくる目的があるわけですが、あくびの口の状態を意識して口を大きく開こうとすると、筋肉に緊張が走り、口の空間が上手く広がりません。そればかりか、筋肉の緊張が発声に支障をきたすこともあるのです。
あと、あくびには脱力を促す効果もありますね。しかし、難しいのは、脱力・リラックスは意識的に行おうと思ってもかえって力んで失敗してしまうことが多いということです。就寝前に「寝るぞ」と念じるとかえって目が冴えてしまったり、大舞台を前に「落ち着け」と自分に言い聞かせてもかえって緊張したりしますよね。肩(実際には口周りですが)に力が入っているとなかなか脱力・リラックスは難しいものです。
筆者もあくびの口を教わり、歌の練習の中で取り入れましたが、「あくびの口をやろうやろう」「意識的にあくびの口をつくろう」と頑張ってしまうと力が入ってしまい、上手く響きのある声を出すことができませんでした。特に頬や下あご、首周りが緊張していることが良く分かります。この状態では声の響きうんぬんの前に歌いづらくて仕方がありません。
解決策は、自然なあくびの状態をつくるということ(あくびの状態を無理につくらないこと)でした。実際にあくびをしてみるのをおすすめします。ただ、実際のあくびでは必要以上に口先が広がったり、口が縦に開いたりするので、あくびをした後に少し緩める(リラックスする)のが適度なあくびの口になるになります。
これで難しいのなら、別のアクションをとるのもいいかもしれません。私は食べ物や飲み物を摂るときのアクションを勧められて、実践したら上手く感覚が掴めました。食べ物を頬張る時、自然と口や喉が開くのですが、その状態があくびの口の状態と近く、なおかつ無理なくその状態を作ることができるのです!
そのやり方をシンガー&ボイストレーナーの渓さんがYouTube動画で解説されています。参考に是非ご視聴をおすすめします!
さいごに
あくびの口は脱力やリラックスを促して声の響きをよくする効果が期待できますが、あくびの口のフォームを強く意識してしまうと過緊張が起きてしまいます。
歌をやっていると脱力と過緊張が根深い関係にある話をよく耳にします。短時間でいい身体の状態を覚えるのは正直難しいと思います。(筆者も苦労しているところです。)ですが、正しいフォームや感覚を身に付けることが堅実な道であり近道だと思うのです。
独学だと不安だという方は信頼できるボイストレーナーの方に頼るのも方法だと思います。ネットで探せばいくらでも情報に出くわしますし、このブログでもボイトレ教室の情報を取り扱っているので、是非チェックしてみて下さい!!
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